愛は惜しみなく与う③
かっこいい。この集団は。そう思った
スっと…落ち着いた砂浜には、相手の男達が、息を切らしながら泉を見る
シーーーンとする
「新、拓也を運んで治療してやれ」
「う…すみません…」
新が拓也を抱えてこちらへくる
泉がさっきあたしを手当てするために持ってきた、メディカルボックスを開ける
「杏さん…すみ、ません」
「もーあんたボロボロやん。口元切れてるし話さんとき」
痛々しい傷口にガーゼを当てがう
傷口に砂も入り込んでいて痛そう……
ほんま、この子が何したって言うねん。
「滲みるけど我慢しぃや」
消毒液を浸して傷に触れる。痛いやろうに声を出さずに我慢する拓也を見ていると、切なくなる
喧嘩に怪我はつきものやけど
こんな一方的にやられるのは違う!
ビーチの様子もソワソワしてみていると、泉の登場により、早くも場が収まりそうだった
烈火のみんなは、泉が前に立つのをみて、さっとその場から捌けた
「泉、ご機嫌斜めだね」
海斗さんは隣で楽しそうに笑う。
笑える感じなん?これ。まーまー怒ってる気がするけど…