愛は惜しみなく与う③
と!り!あ!え!ず!
この場から離れよう
「響?大丈夫?」
あたしが人混みから見つけ出した響は、少し小さくなって震えていた。
もう少し早く行けたらよかった
「杏、ごめん」
謝る響と手を繋ぐ。大丈夫かな?と顔を覗き込むと、力はないが、笑った
人は減ったけど、まだゴタゴタしている現場
とりあえず響を人気のないところに連れて行かなあかん
……なんか、ちょっと弱った男の子を人気のないところに連れて行くって、アカン風に聞こえるけど!!
そゆ意味ちゃうからな!!
さーて!と思って歩き出そうとしたら、身体が止まる。え?なになに?
響を囲んでいた女の1人に、あたし髪の毛掴まれてんけど!?!?
「お、おい!お前らやめろよ」
響が驚いて咄嗟に女の子の手を、あたしの髪から離そうとしてくれるが、ガッチリ髪の毛を掴まれる
あたし、髪掴まれるとか、ほんま久しぶりすぎて、ちょっと泣きそう
「友達だがなんだか知らないけど、なんかムカつくんだけど、あんた」
……むかついてんのはコッチやけど?