愛は惜しみなく与う③
「待ってー!声聞けたんだけど!可愛い」
「響くんって言うんだぁ」
猫撫で声で話し出す女に、ちょっと我慢ならん。
それに痛いし!
響を囲みだす女達
「ちょ、お願いやし、響に近づかんといて!」
動こうとしても、髪の毛が痛くて痛くて…
もう多少怪我させてもええわ。この女が悪い
腕を掴んで足を払って……投げてやろうかと構えた時、きゃっと小さい悲鳴が
下を向いていたからよく見えなかったけど、何が起こった?
あたしの髪の毛解放されたけど?
「お前ら、杏に手ぇ出すなよ」
「響!?」
あたしの髪を掴んでいた女の手を捻り上げているのは、響の手
響を囲んでいた女達は、突き飛ばされたのか、座り込んでいる
「痛い!離してよ!」
「…杏が痛いって…離せって言って、お前離したのかよ」
あかん。響の目が……
曇ってしまう
「ありがとう。大丈夫やで」
咄嗟に響の頭を抱える
もう。なんでそんな頑張っちゃうかな
…ちがうか
あたしが響を守ってあげたいって思うのと同じで、響もそう思ってくれてるんやもんな
「ごめ、俺もっと…早く動かなきゃダメだったのに…」