愛は惜しみなく与う③

「なんで謝るん?嬉しいで。ありがとう!」

克服なんてしなくていい。無理にそんなことしなくていい。ただ少しだけ、勇気を持てるなら、それは響の優しさと共に強さに変わってくれるから


「ヒーローみたいでかっこよかったで」


震えてたけど。泣きそうな顔してたけど
あたしを助けてくれたことには変わりない。その行動はとってもかっこいいと思う


「何言ってんだ?杏の方がヒーローだよ。俺のこと見つけてくれてありがとう」


ふわりと満面の笑みでそう言った

心が温かくなる笑顔


そんな2人の空気



それを見ていてイライラしたのか、鬱陶しかった女達は去っていった。文句言いながら


ポツリと残されて、静かになり、近くで違う喧嘩が勃発しそうな雰囲気を感じとる


「杏!こっち!」


響に手を引かれて辿り着いたのは、駐車場にあるトイレの裏

海斗さんの店から少し離れてしまった


「俺、結構あいつらのこと殴ったから、顔覚えられてると思う。おさまるまで…休憩!」


あいつらっていうのは、喧嘩になってた男たちの事ね
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