愛は惜しみなく与う③

ザワザワとして、駐車場に向かう人たちの声に耳を傾けていた

すると突然頭に大きな手がポスンと乗る


「ごめん。痛かったよね?俺がビクビクしてたから、杏に怪我させた。ごめん」


髪の毛痛くない?そう涙目で話す響
正直、痛さには慣れてると言いますか…
それよりも、あたしは響が助けてくれたことが嬉しくて、そんな事忘れてしまってたよ


「凄いやん!あんな訳のわからん女の中で、あたしのこと助けてくれてんで?凄いよ。かっこよかった!もっかいゆうとくわ!」


逆に響の頭をよしよししておこう
怖いはずやのに、それよりもあたしを助けることを優先してくれた響は、強いよ

いやぁ
なんか母親みたいな気分


「杏の事は、守りたいんだ」


「あたしも!響のことも、みんなの事も守りたい」


お互い様やなと笑う

だんだん先程よりもザワザワする声が落ち着いてきて、あたし達がいる場所も静かになる


「杏?なんであの時、俺のこと見つけてくれたの?」


ん?
海斗さんの店に戻ろうと動き出した時、響に引き止められる

あの時…


「周りに女の子いっぱい居たし、巻き込まれたらあれやなって思って、見てた。響のこと」


「……そっかぁ。ありがとう!俺も、これからちゃんと、杏のこと見てるね」

「うん!」


よし、戻ろう!響の後について海斗さんの店まで戻る
< 70 / 410 >

この作品をシェア

pagetop