愛は惜しみなく与う③
ザワザワとして、駐車場に向かう人たちの声に耳を傾けていた
すると突然頭に大きな手がポスンと乗る
「ごめん。痛かったよね?俺がビクビクしてたから、杏に怪我させた。ごめん」
髪の毛痛くない?そう涙目で話す響
正直、痛さには慣れてると言いますか…
それよりも、あたしは響が助けてくれたことが嬉しくて、そんな事忘れてしまってたよ
「凄いやん!あんな訳のわからん女の中で、あたしのこと助けてくれてんで?凄いよ。かっこよかった!もっかいゆうとくわ!」
逆に響の頭をよしよししておこう
怖いはずやのに、それよりもあたしを助けることを優先してくれた響は、強いよ
いやぁ
なんか母親みたいな気分
「杏の事は、守りたいんだ」
「あたしも!響のことも、みんなの事も守りたい」
お互い様やなと笑う
だんだん先程よりもザワザワする声が落ち着いてきて、あたし達がいる場所も静かになる
「杏?なんであの時、俺のこと見つけてくれたの?」
ん?
海斗さんの店に戻ろうと動き出した時、響に引き止められる
あの時…
「周りに女の子いっぱい居たし、巻き込まれたらあれやなって思って、見てた。響のこと」
「……そっかぁ。ありがとう!俺も、これからちゃんと、杏のこと見てるね」
「うん!」
よし、戻ろう!響の後について海斗さんの店まで戻る