愛は惜しみなく与う③

少しテンパるあたしの耳に、ガチャリと鍵の閉まる音が届いた


「な!なんで鍵閉めたん?」


「ん?なんとなく」


それが何か?とでも言いたげな泉の顔

ちょっと待って?冷静になって?


あたしな?冷静になってほしいのは!


「ちゃんと見てないから、似合ってるか見たい」

「いやいや、なんかここで見せるのと、海で遊んでて見るのとは、違うくない!?」

「そう?俺は別に同じだと思うけど」

「ちょ、また明日海で遊ぶときでええやん。な?」


早く。とTシャツを引っ張るもんだから、その泉の手をペシペシと叩く

泉のシャツの隙間から腹筋がチラチラと…


いかんいかん!
そう思いながら見るのは変態と同じ!


「俺、寒いんだけど?」

「寒いん?暖房つけよか?」

「んーん?Tシャツ返して?」


あかん。喧嘩しかしてこなかったあたしには、こういう時の、まともな対処法が思いつかへん


金的しか対処法が浮かばへんあたしの頭を呪いたい…


「Tシャツ返すし、ここで着替えるし、外で待ってて?」

そうや。別にここで着替えたらええねん。鍵も閉まるし
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