愛は惜しみなく与う③

「俺が弱いだけっす…まだまだだなぁ。全然拳みえなかったっすもん」

「まぁ、たしかに弱いけど」


ええ、フォローしてくださいよぉと泣き真似をする拓也。
ぶっちゃけ、そんなに喧嘩のセンスは無いと思うねん。まぁ優しすぎるってのがあるかも


「でも拓也には拓也のええとこあるし、チームには欠かせへんで?」

「うわーーーん杏さーーーーん」

「ちょ!やめてよ!鼻水つくやん!」


怪我してない方の頬っぺたを押しやる
喜びのハグ!とか言ってるが、鼻水絶対つくし嫌や!


「あーー!拓也が杏ちゃん襲ってるーー!」

「け、慧さん!?」


キッチンに現れた慧は、ダメだよーと言いながら、あたしと拓也の間に腕を入れて引き剥がす

ふう。助かった。鼻水回避!


「襲ってないですよーむしろ、もう片方の頬っぺたもやられるところでした」

「嘘つくな!ちょっと押しただけや!」

「ええぇ!ちょっと?痛かったですよぉ」


はぁ。まぁ拓也はこんな調子でええよ。喧嘩では前線張れへんくても、新みたいに、頭も回るし、周りを見る力はある
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