愛は惜しみなく与う③

ほんまにそれくらいしても、勝てる気せんねん。


今からどこまで精神的にも肉体的にも強くなれるか分からんけど、やれることはやって、それで…



あたしは東堂の中で生きる



全て終わらせて、この2年で決着つけて…
それであたしの役目を死ぬまでやり切る。それでいい

だからどうしてもこの2年が大事や


「杏さん?大丈夫?」

「へ?ごめん。なんやった?」


ウダウダ考えてると拓也に声をかけられる。


「いや…なんか凄い怖い顔してたんで…心配になっただけです。体調悪いですか?」


「んーん!ちょっとお腹痛かった!マシなった!」


あかんあかん。今考えることじゃなかったな。
あたしは考えてることが顔に出るねん。自覚してるから、気をつけなあかん


もう一度拓也に謝ろうと、拓也の方を向いたとき、驚いて声が出た



「あんた、何やってんの?」



あまりの光景に口を手に当てて、典型的な驚き方をしてしまう

「いや、やっぱりおかしかったですか?」

アハハと笑う拓也の手元には、玉ねぎが…
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