愛は惜しみなく与う③

「汚いですよ?拭いてください」

「な、なによ」


吹き出した水を拭きながら新を見るが、早く話を聞かせてください!と黒い笑顔


「なんもされてへん!」

「本当ですか?珍しい。あなたが動揺することってなんです?」

「あたしも動揺くらい普通にするわ!」


あれは不意打ち!闇討ちと一緒!びっくりしただけ!


「みんなが話してましたよ?休憩室で鍵閉めて、2人で何かしてたって……」


え?なにそれ!鍵閉めてって、確かに閉められたけど!

で?どうなんです?と聞く新に、頑張って真顔で答える


「荷物取ってただけやで?」

「ふーーーん?」


そう言ってまた野菜切りを再開してくれたので、ホッとしてあたしもじゃがいもの皮を剥き出したが…



「脱がされました?」



な!!!



「脱いでって言われただけで、脱いでへん!!」



咄嗟に訂正したが


新は爆笑


「鎌かけて言ってみただけなのに…そうですか。脱がされたんじゃなくて、脱いでくれって頼まれたんですね。ふふふ」

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