あなたと。


『てことはさ?キミ子供がいるってこと?』
『はい!2歳になる娘が!』
『あの子か!かわいかったよな!』
『ありがとうございます!』
『うちは男の子でさホントに生意気で!』
『でもかっこいい子でしたよね!逞しかった!』
『そうなんだよ!最近逞しくてさ立派になった』

なんて。親バカ全開の俺。
あの時は格好的にも.子連れだった事もあって
制服でもなかったし
圭祐の母親に似てるなんて思わなかったけど。
制服を見ていると.高校時代に戻ったんじゃないかって思うくらいドキドキしている俺がいる。
恋とかそういうのではないと思う。
でも今.錯覚してる。
高校時代に戻ったんじゃないか。
生まれ変わって俺の前に現れたんじゃないか
そう思った。
そうじゃない事は分かってるけど。
思わずにはいられない感じだった。

この子を見ていると高校生の菜月を見ているようで嬉しいような.懐かしいような
複雑で寂しい気持ちになった。

俺。菜月に会いたくて錯覚してんのかな。
圭祐が生まれて5年。
菜月が亡くなって5年。
俺が父親になってから5年。
俺が菜月に会えなくなって5年。
この5年という節目が俺にとって
何が意味のある年にでもなるのかな?

藤井優月という女性を
高山菜月という女性に重ねている俺がいた。
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