mariage~酒と肴、それから恋~《7》
ぼーっと店のテレビ観ながら、職場みたいに取り繕う必要なくて、気楽。

…いい気分だったのに、今夜は微妙にツイてなかった。

カウンターの常連のおじさんAが、あたしを見て笑う。
「お~、お姉ちゃん、相変わらず美味そうに食べてるね~、餃子ばっか」

「えー、どれどれ、ほんとだ」
横のテーブル席のおじさんBも話に入ってきた。
せっかくの平穏を乱してくる。

女一人で餃子だけ食べてたら変に見える?

でも、餃子は、肉も野菜も入ってるし、これだけで栄養バランス完璧だと思うの。ご飯つけたら太りそうで…。
三十路になってから痩せにくくなって、スーツ買いかえたくないから気を遣ってんの。

得意の愛想笑いで流す。
「仕事終わり、食べるのを楽しみに生きてますから」

人の目なんて、どーでもいい。

話を流そうとしてんのに、調子に乗ったおじさんたちは意気揚々と話しかけてくる。

「女子なのに、オッサンみたいだな~」
「お姉ちゃん独身なんだって?
花金なのに、俺たちジジイと同じもの食べてたらモテないよ~」
いつの間にやらカウンターのAの横のおじさんCも話に入ってきてた。
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