mariage～酒と肴、それから恋～《７》

頼みの綱の栄子さんは、厨房やレジに忙しそうで手が離せそうもなく、これ以上のヘルプは見込めそうもない。

あたしだって、好き好んで一人って訳じゃない。

２０代半ば以降、彼氏無し。
出会いなくて、慌てて三十路前に婚活して何人かとお見合いしたけど、全くダメで。
お金つぎ込んでも結婚できない自分に虚しくなってやめた。

なのに、寿退職する同僚は、恋愛に積極的じゃなかったのに、たまたま行った大人なバーで出会って、速攻燃え上がって電撃婚した。
どうやったらそんなことになるの？！

あたしはもう、出会い方なんて分かんないよ。

それでも、諦めきれない微妙なお年頃。

知らないオッサンにネタにされるのはムカつくわ。
慣れてるけどね。社会に出て何年こんな面倒なオッサン連中と戦ってると思ってるの。
１０年超えてるっつーの。

「そんな堅苦しい格好してるからモテないんじゃないの？
短いスカート履いてもっと足出して、男喜ばさなきゃ！」
したり顔でアドバイスしてくるＣ(そもそもお前誰なんだよ)。

「そんな格好で仕事なんてできないですよ～」
さすがに笑顔が軋む。