mariage~酒と肴、それから恋~《7》
「なごみちゃん、いらっしゃい!」

おかみさんの栄子(エイコ)さんが元気な声であたしの名前を呼ぶ。

栄子さんは、あたしの叔母さん(母の妹)。だから一人で来やすいの。

愛想良くてチャキチャキ接客する栄子さん。
無口な(シャイな?)年上のご主人が料理人。
ご夫婦2人で切り盛りしている中華料理店だ。

「なごみちゃん!
も~、お姉ちゃん(あたしの母)に聞いてるよ!
まぁた、仕事ばっかして!忙しいんだって?
大丈夫なの?ちゃんと寝れてる?ご飯も食べてるの?
やだ、ちょっと痩せたんじゃない?」

いつも元気いっぱいの栄子さん。
こっちの返事を待っちゃくれないマシンガントークで詰め寄ってくる。

小さな頃から、あれやこれやと口煩く心配してくれる第2の母親のような存在だ。

「仕事一段落したから来たの~。ちなみに全然痩せてなーい(笑)
あー、いっぱいだね…」

ぐるっと店を見渡すと、満席。

がっかり肩を落とすと、栄子さんは「大丈夫よ!待って」くるっと回って奥のテーブル席に向かった。

「加地(カジ)くーん、相席いい?」
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