mariage~酒と肴、それから恋~《7》
シャープな顔立ち、バサッとおろした重めの前髪で表情暗めだけど、サイドと襟足は短めだから、首周りすっきりしてて清潔感はある。

ふむふむ。悪くない。

「この子、私の姪っ子のなごみちゃんでーす!可愛いのに独身よ~!」

あたしの分のお冷やとおしぼりを持ってきた栄子さんが、勝手にあたしの自己紹介。

ちょ、ちょ、ちょ!何言ってくれてんだ(汗)
余計なことを!
「栄子さん!やめて、恥ずかしいから!」

栄子さんは悪びれる様子なし。
「こういうのはアピールしとかないと!
どこに素敵な出会いが転がってるか分からないんだからね!」

そりゃね、あたしだって普通に、いずれは結婚したい。

だから、どこでも、あわよくば…って期待してるけど!
チャンスがあれば、いつでも飛び込むつもりでいるけどね!!

「ここには、そういうつもりで来てません!」
栄子さんに向かって、顔をしかめて見せてから、
「どーも、すみません、騒がしくて。お邪魔します」
ヘラッと笑って遠慮がちに席についた。

「…いや、別に」
斜め向かいの加地くんは、無表情で目をそらしたまま(スマホ触りながら)、興味なさげに返事した。
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