mariage~酒と肴、それから恋~《7》
…愛想笑いも無しか、こいつ。
見た目通りクールそう。

ていうか、ほらー、しらけちゃってるじゃん!
あたしが独身だろうが誰も興味ないって!

栄子さんを恨めしそうに見上げると、気にもせずに良い笑顔で注文聞いてきた。
「なごみちゃん、いつものでいい?餃子二人前」

「焼き目しっかり強めでね♪」

「はいよ!分かってるよ~!
あとレモンチューハイね!レモン増し増しで」

「はーい!お願いしまーす♪」

これが、ここに来る、あたしの目的。

今週の疲れを取って、来週頑張るためのパワーチャージ。
餃子のニンニクで滋養強壮、レモンのクエン酸で疲労回復ってやつ。

我ながら、色気なさすぎだけども。

加地くんの前に、瓶ビールとグラスが置かれた。

時間潰しにスマホを取り出すも、手持ち無沙汰だったから、ついほんの出来心。

目の前に瓶があったから、勝手にビールをついであげた。
「はい、どうぞ~」

シャープな奥二重が驚いたように見開いて、あたしを見る。

あ、しまった。

「すみません、ご自分のペースがありますよね。つい、うっかり…」
飲み会でのいつもの癖が…。
苦笑いしながら、ヘコヘコ頭を下げる。
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