mariage~酒と肴、それから恋~《7》
お、加地くん、酢豚定食ね。
酢豚、ご飯、スープ、サラダ、漬物。
美味しそ~。あたしの餃子はまだかな?

「加地くんも一緒ね~。仕事バリバリ!
仕事しか興味ないなんて、良いけど、もう35だったかしら?
2人ともそろそろ結婚も考えないと…、おばちゃん心配だわぁ~」

栄子さんは心配そうに首をかしげて、加地くんとあたしを交互に見た。

え、加地くん2歳上、独身?
独身と聞くと、ピクリと反応してしまうのを悟られないようにする悲しき三十路。

加地くんは無表情のまま、あっさり言い切った。
「…興味ないんで。心配いらないです」
いただきますと、料理を前に手を合わせた。

興味ないのは、“結婚”?
それとも、“あたし”?

全く関係ないのに、勝手な被害妄想で無駄に虚しくなる、悲しいわ三十路。

栄子さんは加地くんに両手をあわせた。
「ごめん、加地くん。ついお節介言っちゃったわね」

「…栄子さん、うちの母親と一緒」
マイペースに食事しながら、加地くんは少し笑ったように見えた。
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