この恋に名前をつけるなら、
________



タカの家は倉庫街にあって
空き家になった所を住めるように
直したらしい。




無機質であまり生活感がなかった。




「タカって一人暮らしなの?」


「あれ?知らなかったの?」



聞けば彼に家族はいないらしい。

生まれた時から父親は誰かわからなくて
母親と2人暮らしだったと。


その母親も彼が14歳の時に
男を作って蒸発したらしい。


彼に残されたのはこの家だけだったと。



「別に寂しかねーよ。
人間独りで生まれて独りで死んでくんだから」


彼は淡々とした口調で言う



生まれた環境に何一つ文句言わず
生きている彼が眩しくて

誰かに依存しながら生きる私が
恥ずかしく思えた






「タカは強くてカッコいいね」



そう彼に向けて言うと




「強がってるだけだよ。」



と優しく笑いながら答えた。



その返事でさえ完璧で
なんだか悔しかった。




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