この恋に名前をつけるなら、
思わず玄関の方に目をやると
知っている顔がそこにあった。
「え、なにこの状況」
そう私たちに聞いてきたのはカズだった。
カズの顔を確認すると
タカは気にせず私のブラを外そうとする
「え、普通止める流れじゃないの?」
とカズが話しても
タカは気にしないみたいなので
「カズもまざるー?」
私が笑いながら冗談を言うと
「え、いいの?」
「よくねぇーよ!!!」
とキレながらタカはやっと手を止めた
「てかなんでお前ここにいるんだよ」
ご機嫌斜めなタカが
タバコに火をつけながらそう聞いた
「シンから今日バンドの練習するから
タカの家集合って言われたから来たのー。」
「はぁ?、そんなこと聞いてねーよ。」
「俺はパトロール用員としてきたんだよ。
シンがマリアのこと心配だけど
自分バイトで行けないからって」
カズは困ったように笑いながら私を見た
そんな気がしなくはなかったけど
本当にそうだったんだと
なんだか私はもやもやした気分になった
「現行犯逮捕しないであげるから
イライラしないでタカさん。笑」
「じゃーお前の金ヅル女紹介しろよ」
「嫌だよ!!!
てかそもそも玄関の鍵くらい閉めとかない
タカが悪いんだよ??」
「うるせー、入ってくんなよなー。」
タカの機嫌が悪いから
私が彼の耳元で
「今日泊まっていい?」
そっと囁くと
さっきまでイライラしてた彼の顔が
マヌケ面になりながら
「やっぱお前いい女だよ」
そう言う単純な彼に思わず笑ってしまった
「よし、全力で取り組もう。
そして早く終わらそう。」
彼は急にやる気を出して
ギターを握りドラムを叩くカズの側に立つ
彼らは今までコピーしたことがある曲を
演奏しだした。
知っている曲があれば私も歌い
知らない曲でも
デタラメな単語を並べて歌った。
英語で歌えば様になるとか
カズがハモるから大丈夫とか
調子にのって笑いながら練習した。
練習というかふざけて
遊んでいただけだけど
私は楽しくて
この時間がずっと続いて欲しくて
シンちゃんがカズに連絡したことが
いつもなら心配されて嬉しいと
感じるはずなにの
今回ばかりは煩わしく思えたことにも
今目の前が楽しければそれでいいと
抱える違和感に目をつぶって
私は歌い続けた。
やっぱり私は強くなれそうにないや。