この恋に名前をつけるなら、
_______



「らしくないよ、シンちゃん。」


「...え?」


ずっと俯いて歩いていたら
横からそう声をかけてきたカズは
心配そうな顔をしていた。


「いやー、マリアのことだよ。
なにがそんな心配なの?」



「...マリアが離れて行きそうでよ、」



「は?、知ってるよね?

マリアはあんたが1番好きなんだよ?
他に男をつくったとしても。」


「知ってるよ。
知ってるから安心してたんだよ。」


「あーもう、わかるように説明してくれ。」



「たぶんタカと付き合ったら
マリア俺のこと忘れちゃうよ。

だから、もう俺が1番じゃなくなると思う。」



「どういうことだよ、意味わかんねぇ。」 



カズがため息をつきながら呆れた顔で
そう吐き捨てた。



そうだろうね、
意味わかんねぇよな。


俺の気持ちなんか。


マリアもそう思ってるんだろうな。




でもお前がいなくなったら
俺やっていける自信ねぇよ。


俺から逃げていなかいでくれ。



ツーーー。


気がつけば頬に一筋の涙が流れていた。

< 35 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop