この恋に名前をつけるなら、
「俺の親父のこと、知ってるだろ?」
これ以上カズに心配させられないと
自分の感情をゆっくり切り出した。
「あぁ、酒癖悪いって言ってたな。」
「それで、酒が切れたら暴れ出して
母さんや俺に当たるんだ。
何年も前から。
殺してやろうかって何度も思ったよ。
もう限界だってブチ切れそうになった時
マリアに出会ったんだよ。
俺の癒しだった。
マリアのおかげで普通の人として
生きてこれたんだ。
だからマリアには俺の側でずっといて欲しいんだよ。
それだけなんだ。
いなくなったら不安でたまらないよ。」
ずっと俺の話を静かに聞いていたカズが
納得いかない表情で、
「それなら付き合えよ。
そうすれば問題解決じゃねーか。
知ってんのか?
あいつがビッチになったのも
アンタが抱いてやらねぇから
寂しい寂しいって。」
「お前、妹抱けんの?」
「........お前らめんどくせーよ。」
全てを理解したのか、
カズは苦笑いながらそう呟いた。