この恋に名前をつけるなら、


____________



「タカさんマリアに言ったのー?」


「まだ言ってない。」



あれから1か月くらい経って
今はもう2月


本日はバレンタインライブの打ち上げで
またまたマスターのバーにお邪魔している。



タカは3月に東京に行と決めたらしい。
だから俺らに残されたのはあと一回。


あと一回ライブしたらスパソルは解散だ。


「シンには言ったの?」


「あぁ、デビューに声かけてもらったって言ったら、素直に受けいれてくれたよ。

おめでとうだってさ。
すんごい冷静なの。」


「シンらしいね。」



「お前みたいに文句の1つでも言ってくれりゃいいのに、ほんと可愛くねぇ。」




笑いながら話すタカだっけど、
どこか寂しそうな顔をしていた。


昔にも見たことある顔だった。



俺がタカをそんな表情をさせることは
きっと永遠にできないのだろう。



そう思うとムカついてきたから
タカの横腹に一発お見舞いしてやった。



「ってぇ、なんだよ。」


横腹を抑えて痛みに悶えるタカに


「出世祝い♡」


とカッコつけて席をたった。



タカのいないこれからの日常が
どうなっていくのか
不安でたまらないけど


お別れの日くらい笑顔で送り出せるよう
あと一ヶ月俺なりに好き放題させてもらうよ。



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