この恋に名前をつけるなら、
______
「荷物それだけ?」
「おぅ、俺にはギターとタバコさえあればイイ。」
カズの質問にカッコつけて答えるタカ
最後でみんなでお見送りをしてあげている。
この2人のやりとりももう最後。
「違うよ、先に宅配便で全部送ったの。笑」
私がカズに教えてあげたら
「そうなんだ、まぁ俺みたいなパシリももういなくなるから自分で頑張るんだよ。」
「うっせぇなぁ。笑」
私たちのやりとりを見守っていたシンちゃんが時計を確認して
シンちゃんが吸っていたタバコを取り上げながら
「タカ、時間だ。
寂しくなったらいつでも帰ってこいよ。」
「余計なお世話だ。」
そう笑い飛ばしながらタカは最後に私を抱きしめた。
何も言わずにただ抱きしめた。
上手く伝えられない私たちは
それだけで十分だ。
プゥーーー...。
新幹線の出発する音が響き渡る。
私達は最後にキスをして
お互い背を向ける。
タカが新幹線に乗り込んで行く気配を感じたが
私はそのまま振り返らなかった。
新幹線の扉が閉まり動き出す音が聞こえてくれば、もう限界だった。
一気に我慢していた涙が溢れ出た。
終わった。
タカと過ごして11カ月
一緒に2度目の桜を見ることなく
私達は終わった。