冷徹社長の初恋
金曜日になった。明日は休日だと思うと、気が緩む。
お子さんのある先生は定時に上がるし、そうでない先生も残業が短めだ。

「町田先生、お疲れさま。今週は、何か困ったこととかなかった?」

川原先生は、金曜日になるとこうして声をかけてくれる。

「えっと……理科の進め方に迷ってて」

自分の仕事も抱えているはずなのに、後輩の私の相談にも、快く乗ってくれる。時間をとらせてしまって申し訳ないとは思う。でも、自分の中だけで考えていても想像の域を出ず、時間をかけた割にイマイチうまくいかないことも多いから、聞いてもらうことにしている。

「……という感じで考えているんですけど……」

「うん。それでいいと思うよ。やってみなよ。ここだけは外せないっていうポイントが明確だから、大丈夫」

「はい、やってみますね。ありがとうございます」


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