冷徹社長の初恋
「お疲れさま」

「お疲れさまです」

ピールグラスをコツンと当てて、一口目を楽しむ。

「はあー。やっと週末ですね」

「だね。今週もハードだったね。見学も参観も終わったけど、なんだかんだ言って、やることはわいてくるからね」

「本当にそうですね。終わりが見えません」

食事をしながら話すのは、やっぱり仕事のこと。まあ、共通の話題はこれだからなんだけど。

「町田さんは、春日さんの頼まれごともあるしね」

学校から一歩外に出たら、〝先生〟呼びをしないようにするのは暗黙のルール。

「そうですね。でも、負担になるほど拘束時間は長くもなさそうなので、数回のやり取りで終わると思います」

「そうなんだ。それならよかった。先日の参観の時も、会社まで行ったの?」

「いえ。あの時は、参観のお礼も兼ねて、カフェでハーブティーを奢っていただきながら、お話をしていました」

「そうなんだ……なんか、校内ですみそうなことなのに、やたら連れ出されてるね」

「そ、そうですか……ね?」

「そう見える。春日さんは、町田さんに気があるんじゃないの?」

「えっ?」

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