冷徹社長の初恋
川原先生の突然の発言に、驚いた。
そんなわけないって、頭の中にはすぐに否定の言葉が浮かぶのに、なぜか胸が苦しくなる。

「やたら町田さんにこだわってる感じだしね」

「そ、そんなことないですよ。春日さんから見たら、私なんてまだまだひよっこで、妹のようなものだと思います」

しどろもどろになりながら、否定をした。
ますます胸が苦しくなっていった。

「ひよっこかあ……確かに、あの人から見たら、年齢的にもそう見えるかもしれないな。
でも、僕から見たら、目の前のことに全力で取り組める、かわいい後輩だよ」

〝かわいい〟なんて言われて、一瞬どきりとしたものの、後に続く〝後輩〟に、学生のノリのようなものかと納得する。

「かわいい後輩だなんて、いつも迷惑をかけてばかりなのに」

「一生懸命になれる子のためなら、指導する時間も迷惑なんかじゃないよ。そうでない子は、時間がもったいないって思うけど。町田さんになら、惜しみなく指導の時間をとるよ」 

「あ、ありがとうございます。そんなふうに言ってもらえて、嬉しいです。私に使ってくださった時間が無駄にならないように、これからも頑張ります!」

「おっ、やる気満々だね」

「はい!!」

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