冷徹社長の初恋
仕事を終えて、20時には帰宅できた。
夕飯を終えて寛いでいると、スマートフォンの着信音がなった。


「もしもし」

「絲、久しぶりだな。今、大丈夫か?」

「あっ、はい。大丈夫です」

数日ぶりに聞く春日さんの声は、なんだか心地よかった。

「明日だが、9時半頃に、絲のマンションにタクシーを行かせるから乗ってくれ。行き先も伝えておくから大丈夫だ。それから、支払いも必要ないからな」

「わかりました」

「絲、その後予定が入ってなかったら、一緒にランチに行こう。いいか?」

「はい。大丈夫です」

「また絲に餌付けができるな。今度は、どれほど懐いてくれるか、俺も楽しみにしているぞ」

「も、もう。またからかってますね」

「ははは。絲に会えるのを楽しみにしている。それじゃあ、明日」

〝絲に会えるのを楽しみにしている〟なんて言われて、胸がドキンと跳ねた。
これは仕事なんだって言い聞かせてるけど、いつもより速く打ち付ける鼓動は、なかなか納得してくれそうにない。

私も……春日さんに会えることを楽しみにしている。


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