冷徹社長の初恋
距離が近づくのは授業参観で!?
なかなか寝付けなかったわりに、土曜日の朝は、目覚まし時計がなるより早くに目が覚めた。

「よし!」と気合を入れて学校に向かう。その道中、もう一度どう授業を進めるのか、頭の中でシミュレーションをしていた。うまく進められそう。大丈夫だと思えた。



「川原先生、おはようございます」

「おはよう、町田先生。今日は大丈夫そう?」

「シミュレーションはばっちりしてきました」

「じゃあ、大丈夫だね。春日さんが来るんだったね。意識しすぎて、緊張しないようにね」

「うぅ……意識的に忘れたフリをしていたんですが……」

「〝フリ〟って時点で忘れてないと思うんだけど」

「ぐぅ……」

「あはは。ごめん、ごめん。大丈夫。保護者もたくさん来るだろうから、紛れるんじゃないかなあ」

「だといいのですが……」

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