冷徹社長の初恋
なんだか、お腹の底から嬉しさがこみ上げてくる。他でもない、春日さんがこう言ってくれたことが、なによりも嬉しかった。

「ありがとうございます。そんなふうに言っていただけると、励みになります」

「俺も、絲のような教師に習いたかったと思ったぞ」

柔らかな笑みを見せられて、胸が高なった。普段の厳しい顔を見たことがあるだけに、春日さんの笑みはギャップがありすぎる。
とにかく落ち着こうと、両手をギュッと握りしめていた時、隣のクラスから川原先生がやってきた。

「失礼します」

「あっ、川原先生すみません。私から声をかけるべきだったのに……」

「大丈夫だよ。僕の方も、あいたから来たんだ」

「改めて、こちらが同じ5年生の担任をしている、川原先生です」

春日さんに、川原先生を紹介する。

「先日は、見学でお世話になりました」

「ああ。子ども達の役に立ててよかった。先日、絲先生にはお話ししたが、見学をさらに充実させていくために、今日は話を聞かせていただきたい」

「絲…先生……あっああ、はい。私にわかることでしたら」

〝絲先生〟って呼び方に、私も驚いたけど、川原先生も戸惑ったようだ。

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