三日間の幸福
家の前に着いた。

このまま平良を部屋に入れてもいいのかな、いいんだよね?
非常事態だし。
なんせ一晩同じ部屋で過ごしても何もなかった。

部屋のドアを開ける。

「おっじゃまっしまーす。」

平良がドアから部屋の様子を覗く。
と、すぐに「うわあ」という声がこぼれた。

「靴のままでいいよ、危ないから。」

私が言うと、申し訳なさそうに平良が土足で上がる。

照明、食器、その他本棚の本が見事に落下していた。
足元に散らばる破片。

「危ないから俺やるよ。」

平良が新聞紙を広げて大きな破片を拾っていく。

「まだ電気戻んないから掃除機は使えないか。」
「あ、これ充電式のやつだから使えるかも。」

私がそう言ってコードレス掃除機を手に取ると、平良がサクッと私から奪う。

筋が浮かぶ腕に、少し、今もドキッとする。
平良の好きなパーツ。

平良がさくさくと散らばる破片を片付けていく中、私はやることもなくて本棚に本をしまっていた。

ふと思う。
なんで平良は手伝ってくれてるんだろう。
本人の口からも「ボランティア」って出てる。
優しいのは知ってる。

でも少しだけ期待してしまう。

昨日なんで避難所まで来てくれたの?

平良が大きい破片を新聞紙に大体片付けると、あとは掃除機で吸い込んでいく。

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