金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
けれど、私より薄く感じる生命力に嫌な気はしない。

むしろ、この男の子が私と同じくらいの年ではないかと思ってホッとしたくらいだ。

「 ……あのっ…… 」

声を掛けた私に、彼はもちろん無反応。

それでいい。

そう思って声を掛けたのだから。

「 ……あのっ!! 」

2回無視されると、こっちを向いて欲しくなる。

「 あのっーーーーーーーーっ!」

意地でもこっちを向いて欲しくなる。

私は左のイヤホンをぴょんと外して、その耳元に声を掛ける。

「 あのっ!! 」

「うわぁっ!!びっくりしたっ。
……何?!  君?……てか、誰っ!!」

何…?って。

誰って……言われても……。

彼は男の子にしては、柔らかい高い声で驚いて…怯えるようにこっちを見た。

失礼って…言うんだけど。ソレ。

向こうの壁に身体をのけぞると、まるでラスボスに出会ってしまったかのような表情で私を見る。

「 誰…?君。」

高くてふわっとした声。

小さく尖ったアゴ。

ツンとした彼の目元は、小動物のようにつぶらで可愛らしかった。

「 ……たぶん、客…だと思う。」

細身で蒼白いくらい透き通った肌の彼は、まるでこの異空間にぴったりの妖精のようだった。





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