金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「 あ…あ〜なるほど…いらっしゃいませ。」

ソレソレ…それだよね。店員って…。

こっちの方がびっくりする。

お客以外…何?って、逆に聞きたいし…

お客に…誰?って聞く店員…あんましいないけどっ!!

くすんだ緑の前髪は、ワザとぱつんとカットされていて彼の眉あたりは、はっきり見えない。

けど、たぶん…怪訝な感じで曲がってると思う。

彼は無言でイヤホンを耳から外して立ち上がった。

あれ…意外に、背が高い。

そしてパーカーのフードを取ると、やっと仕事を思い出したのか…少し口角を上げて微笑むと、

「何か、お探しですか?」

と、私に尋ねた。


青い世界の美少年の瞳は、水槽の水草の輝きを受けて瑠璃色に見えた。

ルラルラ…と揺らめく瑠璃色の瞳。

「占いって……表に。金魚占いって何ですか?」

「君……この辺の子じゃないのかな?

ん〜〜っと…おみくじみたいなもんだよ。

夏祭り……この辺りでは夏のある期間、夕方から夜市が開かれて、いくつもの屋台が出店するんだ。

うちは、金魚屋だから…金魚すくいと一緒に金魚占いをするんだ。

ここらじゃ当たるって有名なんだけど。」

「へぇ〜。有名なんだぁ。」

「そう、夜市の名物。カップルでおみくじを引いて占い師に占ってもらうんだ。
2人の未来。」

未来……2人の…恋の行方。
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