金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「金魚の形に象った和紙に包んだ飴玉の色で、占いをするんだ。」

「可愛いっ…。なんか…いいね。
それに、夜市って楽しそうっ。この町にはそんなお祭りがあるんだね。」

「君…転校生?渚澤高校でしょ。」

彼は、私の制服をアゴで指す。

「あ……一応。2学期から通うことにはなってるけど……。」

「(笑)けど…って。まぁ…よろしく。僕も、渚高の2年。」

「えっ。そうなの…。同じっ。
髪、緑だったから…高校生に見えなかった(笑)」

「君も、かなり茶色いよ。髪……(笑)」

「これは…夏季限定で…。」

「同じく。夏季限定(笑)
夜市は、エンターテインメントだからね。
僕は…金魚屋の売り子として顔でもあるから…(笑) ……なんてね。」

そう言って、ふわっと笑う彼に私も思わず笑みが溢れた。

「 ……名前、聞いていい? 」

「私……?……村瀬 菜乃花。
東京……あっ、あっちでは菜乃って…皆んなから呼ばれてた。」

「へぇ〜。菜乃ちゃんは東京の子だったんだ。
とんだ田舎に来ちゃったんだね。」

「東京…って言っても区じゃなくて…市なんだけどね。(笑)
でも、ここ…びっくりするくらい田舎!!
バス、1時間に2本とか…初めは待つことに不安になっちゃった。ホントに来るの?って…(笑)」

「(笑)あははっ。ソレ、ここではフツーだよ。
土、日なんて1日に2本とかだよ。」

「えぇっ!(笑)そうなの〜。
あ……で。
私も……名前、聞いていい?」

「あぁ〜僕? 僕はこの金魚屋の息子で……
三島 瑠璃。(みしま るり)
オーナーは、父さんが死んでからは母さんがやってる。
夏休みはこうやって、代わりに店番してるんだ。
そうそう…
母さんが、金魚占いの占い師だよ。」
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