金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
日焼けした肌の色。

腕や…Tシャツ越しに分かる胸の筋肉。

男らしすぎる空気?

生命力……?!


「別に…覚えてないんなら、いいんだけど。」

「あっ……いや…あの、ごめんなさい。」


力強い男らしさに……一歩、後退りする私に気づいてか、彼はまだ雫の残る両手をそのまま、ニッカポッカのポケットに突っ込んで…首ごと視線を外した。

「元気なら…それで。  じゃっ…。」

「……あのっ…。」

「 ん。」

「私……まだ、この町に引っ越して来たばっかで……知り合いって、あんまりいないから…。」

「 …………。」

「………人…違いじゃ……?」

「 ………………。
知り合い…いないわりには、ここには親しい人がいるの?」


彼は、商店街の入口のアーチ型の看板を見上げる。

見れば見るほど…レトロな看板。

“ ゆうがお楽市商店街 ”


「 あっ…いや、あの…最近、何日か続けてここへ入って行くのを見かけたから…。」

そう言った後に、彼はしまった…という表情で照れた感じにまた視線を外した。

その表情が、意外にも可愛いくて…

「あっ……そう。 友達が…。」

「 へぇ〜〜。」

彼はシュッとした切れ長の目を、クッと開いて私を見つめる。
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