金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「 菜乃の、お父さんはゴウちゃんだったよ。
いいお父さんだったよ。」

「ごめんな、菜乃……。」

「 へーーキ。」

「 平気……かぁ。
菜乃、ママと気持ちが合わない日は…いつもそう言ってたじゃん。
平気じゃない時に必ず平気って言うだろ。」

「 心配しすぎっ。(笑)」

「無理に……圭也君とも別れたんじゃないのか?
子供のことは………二人とも若いし、学生だし…本当に…仕方のなかった事だとして。
友達とだって、離れたくなかったんじゃないのか?」

「 ………う、うん。大丈夫。
友達とは、今もたまに連絡取ってるし、圭也とは…無理に別れてここへ来たんじゃなくて、お互いに今回の事で気持ちが離れてしまったんだと思う。
特に……私の方が…。」



赤ちゃん…仕方ないことだったとは思っても、やっぱり心からそうは思えない。

圭也にだけは、そう思って欲しかったのに……。



元カレの圭也は、近所の歯科医の子で私とは身分の違うおぼっちゃまだった。

だからと言って私は彼のそういう所が好きになったわけじゃなくて……優しくて頭が良くて、シュッとした高身長。

ごく普通の恋だったと思う。

ごくありふれた恋愛。

手を繋いで…キスをして…そして…

ごくありふれた日常が、少しだけレールを踏み外して…

だだ未完成な私たちにレールを外れて走るには早すぎた。
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