金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
彼女なりの精一杯の慰め方だったと思う。

彼女は…傷ついた娘にそんな言葉でしか慰められない母親なんだ。

自分だってエリートにバカにされて悔しくて傷ついているくせに……やけっぱちな態度しかとれない母親なんだ。

一緒に悲しんだり…悔しい気持ちを分け合うなんて彼女にはできない。



悔しくて……

悲しくて……

ただ、泣きたいだけなのに。



「ゴウちゃん、ありがとう。本当に大丈夫だよ。
あっ…、そう…菜乃ね…金魚、飼い始めたの。」

「へぇ〜。そりゃ面白いな。」

「占い師の見習いさんとも友達になったの。」

「それも、面白すぎだな。」

「 恋なんて…簡単にできない。
そう思っているのに…“恋の始まり”…なんて言って占うの。(笑)」

「菜乃。舞花と幸せになれよ。
俺が…言うことじゃないよな……。けれど、菜乃…幸せになれ。」

私の瞳の奥が熱くなる。

「 大失恋…なのに。
全然…全く…瑠璃の占いは当たらない。

圭也にも……

ゴウちゃんにも……

大、大失恋なのに……。」

私の名前を呼んで、何度も何度も謝り続けるゴウちゃんの声に涙が溢れて止まらない。

スマホを耳に当てて…その場にうずくまる。

ガマンしていた涙が崩壊する。
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