金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
「あーーーーっ。(笑)さいっあくっ!」

ドキッとした私の心の迷いに、瑠璃はいつもと変わらず…優しくてピュアな笑顔を返してきた。

「これって、僕の負け?」

なんとなくホッとして私はヘタっと…畳にしゃがみ込んだ。

「金魚たちにエサ…やんなきゃっ。」

瑠璃はそう言うと、店へと続く襖を開けた。

そして崩れたジェンガのブロックたちの中に、今取り合っていた自分のブロックを投げ入れた。

私も瑠璃の後について階段を降りかけた。

……と、振り返って…その瑠璃の手から滑り落ちたブロックを探した。




あっ…………

“ 正面の人に キスをする。”




親友の距離を、瑠璃はよく分かってくれていた。

この夜を、瑠璃と一緒にいたいと思った。

おかしいけれど…矛盾だと思う。

けれど…触れたくない男の部分の瑠璃に、恋しい気持ちになった。

触れたくないのに……恋しく思った。

「瑠璃、待って。私も手伝うっ!」

ギシギシ鳴る階段を降りると、

生臭い魚の匂い。

水の匂い。

「瑠璃、嘘は無しっ! パスも無しっ。」

「はぁっ?!」

瑠璃は、私の方を気怠く振り向く。

色っぽい流し目に…胸がキュッと鳴る。

古い階段が軋む音とリンクしてキュッ…キュッキュッと…苦しい。
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