金魚占い ○°・。君だけ専用・。○.
ママと私は、不思議な距離を保ったままバス停までの道のりを歩く。

会話は、いつも通り無くて…ママはスマホをしきりに操作して歩き、私はその後から知らない町をボ〜と流しながら歩いた。

校門から続くガードレールの下には川が流れ、その向こう側には町並みが見える。

ショッピングモールやガソリンスタンド、本屋さんらしき看板。

駅のホームも見えてきて…少し遠くから電車の警報機の音も聞こえる。

よかった。

過疎の村まではいってない様子。

バス停は、この下り坂の途中にあり2学期が始まればこの坂道も、バス停も、学生で溢れかえるのだろう…。

意外にも屋根が広くて真新しいバス停。

ママは青いベンチの隅に腰掛けて、私は屋根の柱の隅に立つ。

「ねぇ…。菜乃花、ママ 仕事戻っていい?」

彼女はまだ、スマホをしきりに操作している。

「うん。平気だよ。 もう、大丈夫。」

「…………ったくぅ。

大丈夫なら、先生にちゃんと言ってよ。大丈夫だって。
ママだって、新しい仕事始めたばっかりだし…

困るよ、こんなの。

補習始まって2回目だよ。

何のつもり……?」



何のつもりでも無いよ………。



「…………。ごめん。」


「夕方から、人と会う約束があるんだけど。」

「いいよ。平気…もう大丈夫だから。」



新しい彼氏だと思う。

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