【完】いいから逃げちゃおうよ
翌日、始発で家に帰った。
何回大丈夫だといっても、圭太は俺も一緒に謝るの一点張りで。
結局、2人揃って我が家まで行った。
「ごめんなさい、お母さん」
「すみません。俺が無理言って連れ出しました」
2人で頭を下げて謝ったから、お母さんの表情は見えなかった。
でも、次の瞬間、私がいたのはお母さんの胸の中で、
「ごめんね、…由紀」
謝っていたのは私なのに、泣きながらそんなこといわれたら、なにも言えなかった。
お母さんはなにも悪くない。
そういう代わりに、そっと抱きしめ返した。
お母さんの涙を見たのはこれが初めてだった。