【完】いいから逃げちゃおうよ



翌日、始発で家に帰った。





何回大丈夫だといっても、圭太は俺も一緒に謝るの一点張りで。


結局、2人揃って我が家まで行った。





「ごめんなさい、お母さん」


「すみません。俺が無理言って連れ出しました」





2人で頭を下げて謝ったから、お母さんの表情は見えなかった。


でも、次の瞬間、私がいたのはお母さんの胸の中で、




「ごめんね、…由紀」




謝っていたのは私なのに、泣きながらそんなこといわれたら、なにも言えなかった。


お母さんはなにも悪くない。

そういう代わりに、そっと抱きしめ返した。


お母さんの涙を見たのはこれが初めてだった。


< 15 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop