【完】いいから逃げちゃおうよ



「ごめんね、由紀」


「なんで謝るの?私かっこよくて優しい歳上のお金持ちな紳士と結婚できるんでしょ?」





そんな顔しないでよ。


私はお母さんの笑顔がだいすきなんだよ。





「むしろ、ありがとうだよ」




そういって、私が笑って見せても、お母さんの表情は変わらなかった。



女の人が出世するのはそんなに簡単なことじゃない。


社会が変わってきているといったって、その事実は変わらない。



そんな中で、社長の息子が自分の娘と結婚したいといってるなんて話、断れるわけない。



断っちゃったら、私の可愛い妹と弟まで、路頭に迷うことになるかもしれない。



この答え以外に、正解なんてない。








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