【完】いいから逃げちゃおうよ
「圭太、私ね、圭太のことがずっと好きだった」
翌日、放課後、屋上。
自分がこんな、いかにもな場所で、いかにもなセリフを吐く日が来るなんて、一度も考えたことなかった。
こんなアオハルっぽい出来事に踏み切るのが、
昨日より、前だったら、きっと、
ドキドキとバクバクで心臓がおかしいくらい痛くなって。
頭の中ぐちゃぐちゃで、噛んで、恥じらって、とか、
青春の1ページになったのかもしれない。
でも、これからいうのは、付き合ってとか、そういう言葉じゃなくて、
「私ね、許嫁ができたんだ」
こんなにも、現実味を帯びていない。
まあ、自分自身もまだ実感できていないから、圭太を断ち切るために、こんなことを言ってるんだ。
口に出したら少しは理解できるかな、なんて。
うん、思ったより、辛い…。