【完】いいから逃げちゃおうよ
なにも言ってくれない圭太は、顔色一つ変えないから、なにを思ってるのか、全くわからない。
なんか、圭太って、…思ったよりも私に興味ないんだな。
…だったら、むしろ、よかったかもしれない。
昨日までだったら、もっと希望を持っていただろうから。
圭太も私のこと好きなのかもって、ちょっと期待してたから。
圭太との未来が0な今は、
変な期待だって、
次に繋がるような言葉だって、
私には許されないこと。
「言って、踏ん切りつけようと思ったの。ごめん、呼び出して。
じゃあね」
こんな勝手なやつ、明日から圭太と話もできないかもしれないって思うと、
少しだけ、悲しいなぁ。
圭太のこと、ちゃんと忘れられるのかな、私。
…忘れたく、ないなぁ。
…いつの間にか目に溜まっていた涙が、あふれて溢れたのと、
「いくなよ」
圭太が私の手を握って振り向かせたのは、ほぼ同時。