【完】いいから逃げちゃおうよ



なにも言ってくれない圭太は、顔色一つ変えないから、なにを思ってるのか、全くわからない。




なんか、圭太って、…思ったよりも私に興味ないんだな。


…だったら、むしろ、よかったかもしれない。



昨日までだったら、もっと希望を持っていただろうから。


圭太も私のこと好きなのかもって、ちょっと期待してたから。



圭太との未来が0な今は、

変な期待だって、

次に繋がるような言葉だって、

私には許されないこと。





「言って、踏ん切りつけようと思ったの。ごめん、呼び出して。


じゃあね」





こんな勝手なやつ、明日から圭太と話もできないかもしれないって思うと、

少しだけ、悲しいなぁ。



圭太のこと、ちゃんと忘れられるのかな、私。


…忘れたく、ないなぁ。



…いつの間にか目に溜まっていた涙が、あふれて溢れたのと、




「いくなよ」




圭太が私の手を握って振り向かせたのは、ほぼ同時。

< 8 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop