妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~

言われようにショックを受け言葉を失った私に叔父さんははたと気づき、憤りで歪んでいた顔面をにこやかさで覆い隠していく。


「なぁ美羽ちゃん。考え直してくれないか? 我々には......いや、これからの羽柴コーポレーションには、君という存在が必要なんだ」


猫なで声にぞくりと背筋が寒くなる。

求められてもちっとも嬉しくない。私が必要なのは、父派の人間を黙らせたいからだと知っているから。

それもこれも全部、叔父が自分たちに都合よく物事をすすめるために。


「買いかぶりすぎです。私には何の力もありませんから。会社にとっても、高志さんにとっても、本当に必要だと思える女性がこの先必ず出てくると思います」

「待ってくれ、そんなことはない! おい、大和。お前も一緒に説得してくれ」


冷たく突き放すと、叔父さんが顔を青くさせ、兄へと焦りをぶつけるかのように命令する。

しかし兄は苦笑いで一蹴する。


「我が社に君が必要だと言われても、美羽にしたら何を今更と思うだけですよ。入社が許されなかった時点で、自分は必要とされていないと泣いてるのですから」


痛いところを突かれ、叔父がぐっと小さく呻いた。

私の心は揺るがない。だからこれ以上話してもムダだ。話を収めるべく、私も真剣に続けた。

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