妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
三章、素敵で完璧な旦那様
音楽イベントから半月が経とうとしている。
イベントの終了とともに慌ただしい日々も収束すると思っていたけれど、甘かった。
早速デートでこの前保留にしていた婚約指輪を恭介君から渡されたり、彼のご両親の元へと挨拶をしに行ったりした。
その日から晶子先生の電話も頻繁にかかってくる。
もっぱら話は結婚式に関してで、あぁでもないこうでもないと一緒に考えてくれるのだ。
だから私は未だに緊張の最中に居続けている。
叔父からあんなことを言われたからか、正直、恭介君のお父さんに会うのが怖かった。
がっかりされるのではと不安で仕方がなかったけれど、会ってみたらそんな様子は微塵も感じられず心の底から安堵した。
私たちの結婚を祝福してくれ、その上、幸せにしてあげるんだよと晶子先生共々涙まで浮かべてくれたのだ。
受け入れてもらえた瞬間を思い出すたび、心が温かくなる。
左手薬指に光り輝くダイヤモンドの指輪を微笑みながら見つめていると、「先輩!」とすがるような声で呼びかけられ、ここは会社だったと私は我にかえった。
昼休憩もあと少しで終わるため、ぼんやりと物思いにふけっていたのだが、いつの間にか私のデスクの周りに女子社員が集まってきていた。