妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
目の前に現れた白タキシード姿の恭介君を見て、息を飲む。
美男子であり背も高い。おまけに少し光沢のある生地が彼が元々持っている気品をより際立たせている。
「王子様みたい」
完璧すぎる彼に感じたことをぽつりと言葉にすると、ほんの一瞬、彼の笑みが深まった。
そのまま私の目の前まで歩いてきて、そっと手を差し出してくる。
「お姫様。お手をどうぞ」
恭しく呼びかけられたことに照れつつも、迷うことなく恭介君の手に自分の手を重ね置き、顔を見合わせ微笑んだ。
「今日という日をどれほど心待ちにしていたことか」
晶子先生がこちらにスマホを向けるのを感じながらも、なかなか恭介君の澄んだ瞳から目を反らせない。
「美羽を嫁にもらえる俺は世界一の幸せ者だ」
「それは私の台詞だよ。恭介君、私を選んでくれてありがとう」
彼の言葉の一言一句が嬉しくて泣きたくなる一方、自分に何の力もないことが申し訳なく、こう感じる度に叔父の嘲笑うような顔が頭を過るのも悔しくてたまらない。