妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
最初こそチャペルの荘厳さや参列者の多さ、そして何より緊張感で、自分を取り巻く全てに圧倒されていたけれど、最初に「はい、誓います」と答えた彼の声が私の胸に響き、幸せな気持ちを思い出させてくれた。
恭介君と向き合い指輪の交換をする。
わずかに指先が震えていたけれど、彼の手が触れたことでそれが収まり、イベントでの出来事を思い出す。
彼に憧れを抱き、好きになり、結婚しようと決めたその一瞬は、幼い頃からこれまでの私の人生にたくさん散りばめられている。
その積み重ねの上に今この瞬間があり、そして薬指に輝く指輪が、夫婦としてのスタートという新たな一ページが増えたことを教えてくれる。
私の視界を覆っていたベールが上げられる。
すぐに恭介君の綺麗な瞳に捕らえられ、顎が優しく持ち上げられる。
わずかに微笑みながら、私はそっと瞳を閉じた。
柔らかく重なる唇。心地よく繋がった互いの時間。ここから先はふたりなんだと強く感じる。
愛と信頼。確かな気持ちが私の中で大きく輝きだす。
なにがあっても彼についていこうと、改めて心に誓った。
無事に一日を終え、式の華やかな思い出に気持ちを高揚させたまま、私は恭介君と一緒に彼の実家近くに建つ十五階建ての新築マンションへ。
この最上階に私たちの新居がある。