妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
叔父夫婦は結婚式に出席してくれたけれど、ふたりから祝福は受けていない。
幸せいっぱいの記憶の中に、ふたりのつまらなさそうな表情だけが異質なものとして残っていて、その上、あの日以来顔を言葉も交わしてないのだ。
叔父さん家族との間にあった溝がさらに深くなったのを感じている今、叔父さんだったり羽柴コーポレーションのことについて話をするのが一番苦痛だった。
それと同時に、私も青砥家の一員だという思いが強くなり、私も大切な居場所をしっかり守っていきたいと考えるようにもなった。
「ねぇ。今は短時間しか働いていないけど、慣れてきたらもっと長い時間働いても良い?」
「良いよ」と返してもらえるとばかり思っていたが、なぜか恭介君は「うーん」と眉間にしわを寄せ、前向きな言葉をくれない。
「もしかして、私が働くことに乗り気じゃなかった? 私は、赤ちゃんを授かるまでは今まで通り外で働いていられたら嬉しいんだけど。恭介君は、子供はまだ考えられないんだよね?」
不安とともに自分の考えを伝えたあと、先ほどの女性の言葉や先日の食事会でのことを思い出し、恐る恐る確認する。
恭介君の意向を受け、私は今、短時間のパートタイム勤務という立場で働いている。