妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
許されるなら、もう一度自分の夢に向かって進みたい。彼の思いが、私の中でキラキラと輝き出す。
「俺の妻なんだから、遠慮せず甘えてくれ。まずは夢を叶えて、子供はそれからだって遅くない」
「恭介君、本当にありがとう。私が夢を諦めたことをずっと気にしてくれていたんだね」
「先にっておくが、同情じゃないからな。美羽の喜ぶ顔が見たいっていう俺のエゴでもあるし、美羽がアザレア音楽スクールの優秀な講師の一人に成長してくれたらアオトにとってもプラスだっていう考えも持ってる」
「働いてもらうぞ」と茶化したように追加した彼に、「ありがとう」と繰り返し呟き、そしてまっすぐ彼を見つめる。
「私、大学に行きたい。そして、晶子先生みたいなピアノの先生になる! 私を信じて力を貸してくれること、絶対に後悔させない。頑張って、恭介君の期待に応えてみせるから」
力いっぱい宣言すると、ふっと恭介君が表情を和らげ、私を抱きしめた。
「頑張れ」
穏やかに響いた言葉が私の中で力に変わる。
彼ほど素敵な男性を私は知らない。私にはもったいないくらい完璧な旦那様だ。