妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
晶子先生は、話し相手がいるって本当に幸せだわと口癖のように言う。
お義父さんは大企業の社長であるが故に、多忙を極めている。
そのため、晶子先生は自宅ではどうしても一人でいることが多くなる。
話を聞いているとそのことでとても寂しい思いをしていたのが伝わってきて、それが未来の自分の姿でもあるような気がして余計に放っておけないのだ。
時々お菓子をつまみ食いしながら会話に花を咲かせていたため、そこまでお腹も空いてなかったし、なにより、出来る限り彼と一緒に食卓を囲みたくてこうして待っていたのだ。
席に着いた彼の前に、温め直した料理や少し前に完成させたばかりのスープやサラダを並べる。
「そうだ。私ね、明日の夜、石田教授と晶子先生の三人で会うことになったの。もしかしたら食事もしてくるかも」
「そっか残念だな。実は俺も、大和を誘ったところだったんだ。できたら美羽も一緒にと考えていたのだが、先に予定を聞くべきだったな」
「そうだったんだ。明日はふたりで楽しんできて。もちろん次会うときは私もまた誘ってね」