妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~
あまり役に立てていなくても、恭介君の下で働いているという気持ちが少なからずあったため、仕事中でもどこか身近に感じていたのだけれど、これからはそうもいかないらしい。
「仕事上での関わりはなくなっても、家に帰れば一緒だ。夜は、好きなだけたっぷり甘やかしてやる」
その台詞に思わず息を飲んだ私へと恭介君が右手を伸ばしてきた。
そして、そっと指先で私の唇をなぞり、色っぽい笑みを浮かべてくる。
「ほら、寂しそうな顔をしていないで、早くご飯を食べよう。そのあと、一緒に湯船に浸かりながら、たっぷり甘えさせてあげるから」
「わ、私、今、ちっとも寂しくないので、どうぞお構いなく!」
咄嗟に身を引いて彼の指先から逃げたものの、彼はまだ意味深に微笑んでいるため、鼓動の速度も頬の熱もあがり続ける。
こうして、いたずらに色香を振りまいて私をからかう恭介君は、悔しいほどに格好良い。
ベッドの中で男の顔をあらわにした彼もものすごく素敵だ。思い出しただけで身悶えするほどに、たまらなく色っぽい。
彼を求めて体が熱くなるのが恥ずかしくて視線をそらすと、恭介君がぽつりと追加した。
「その顔も、可愛いな。はやく抱きたい」