妻恋婚~御曹司は愛する手段を選ばない~

晶子先生から不思議そうに飛び出したひと言に、私は頷く。


「あのふたり、本当に仲がいいですよね。家で飲み直すだなんて、マンション内で大騒ぎしてないといいけど」


そんな自分のぼやきを心を中で否定しつつ、ひとり笑みを浮かべた。

いくら酒が入っていても、あのふたりなら悪酔いなんてしないだろう。

せいぜい兄が微妙な陽気者になるくらいで、はめを外して大騒ぎする姿など想像すらし難い。


「久しぶりにふたりで会うから話が尽きないのかな。どんな話をしてるんだろう」


恭介君からのメッセージを読み返しながら、何気なく抱いた疑問を言葉にしたあと、晶子先生のしきりに首を傾げる様子に気づき、「どうしましたか?」と続ける。


「実は今朝うちの人に、今夜は恭介と夕ご飯を食べてくるって言われたのよね。三人一緒だったのかしら」


晶子先生の疑問に、私の首も自然と傾いていく。

恭介君からは兄と一緒だとは聞いていたが、お義父さんもだとは聞いていない。

きっと言い忘れただけだろうと心の中で結論づけた私の隣で、晶子先生が笑う。

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